なぜ照明設計は後回しにされるのか? ――“光の不在”が引き起こす見えない損失と、その回避のために
2025/08/14
「照明はあとで考えればいい」という常識
住宅・別荘・店舗・オフィスといった空間づくりの現場では、建築や内装、設備、家具といった要素の検討は早期から始まります。一方で、照明計画に関しては「最終段階で整えるもの」と捉えられ、後回しにされることが非常に多く見受けられます。
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「とりあえずダウンライトを等間隔で並べておけばいい」
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「家具が決まってから考えれば間に合う」
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「雰囲気が足りなければスタンドライトで足せば済む」
このような“応急処置的”な発想が根強いのが現実です。しかし、こうした照明に対する軽視が、最終的に空間の快適性・意匠性・機能性のバランスを崩してしまうという点は、あまり意識されていません。
なぜ照明は軽視されやすいのか?
照明が後回しにされがちな背景には、空間づくりにおける構造的な理由があります。
● 目に見える形がない
照明は、建築や家具のように明確な「形」がなく、図面やCGにも描かれづらいため、比較や検討が後手に回ります。
● 設計優先順位が低い
構造・意匠・設備といった要素に時間が割かれ、照明は「電気設備の一部」として軽視されがちです。
● 役割の理解不足
照明の持つ心理的・空間的影響が関係者に共有されていない場合、優先順位が下がります。
● 「あとで調整できる」という誤解
照明器具の型番や位置は、電源や天井構造と密接に関係しており、後からの変更には制約が伴います。
よくある照明資料の限界
多くの方が受け取る照明資料は、次のような形式になっているのではないでしょうか?
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平面図に〇や◎で器具配置が記された照明プラン図
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器具の型番と電気容量のリスト
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照明器具の外観図
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イメージパースや雑誌の切り抜きイメージ
これらは私たち専門業者も作成する**「施工のための資料」**です。どの場所に、どの器具がどれだけ必要かを示すための情報ではありますが、光の雰囲気や明るさの質感を読み解くことは困難です。
専門家が読み解く「照明の実像」
たとえプロでも、以下のような手順を経て、ようやく空間全体の雰囲気を推定します。
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図面から部屋の大きさ・構造・天井高・開口部位置などを把握
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床・壁・天井の素材や色から光の反射を想定
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各照明器具の型番を確認し、カタログから仕様を特定
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器具ごとの光の強さ、色温度、配光角度、演出意図を読み取る
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それらを頭の中で構成し「こういう雰囲気か」と再構成する
このプロセスを施主ご自身が行うのは、事実上不可能です。
業者が「こんな雰囲気になりますよ」と口頭やイメージパースで伝えても、それが現実の照明の質と一致しているかは別問題です。
実際、弊社にセカンドオピニオンを依頼されたお客様の照明プランをCGで再現してみたところ、元のパースとは全く異なる雰囲気・明るさになっていたというケースも多数あります。
後から変更することで起きるロス
建築途中に照明の違和感に気づいた場合、変更はもちろん可能です。しかし、現実的には次のような問題が伴います。
● コストの増加
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器具の追加や変更による費用
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電気・内装工事の再調整費用
● 工程の遅延
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大工・設備・電気工事の後戻り
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工程表の再編による引渡し遅延
● 関係者への負担
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建築会社・工務店からの抵抗
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他業者との調整ストレス
こうしたギャップを埋める「セカンドオピニオン」
弊社では、こうした照明の不確実性に対応するため、**建築途中からでも対応可能な「セカンドオピニオンサービス」**を提供しています。
● サービス概要
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現在手元にある照明プランをもとにCGシミュレーションを作成
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オンラインヒアリングを通じてご要望を整理
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「今のプランで進んだ場合、空間がどうなるか」を診断書にて提示
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CGとA4・1枚のレポートで可視化してご説明
● 料金
¥80,000〜/1部屋(税別)
(※面積や状況により調整可能)
施主様が納得したうえで進めることができると、ご好評いただいております。
最後に:気づけた方から“体感”は変わる
「なんとなく落ち着かない」
「空間がぼやけて見える」
「何かが足りない気がする」
その違和感を無視せず、照明に目を向けることは、空間の体感価値を大きく変える第一歩です。
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雰囲気も
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機能性も
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心の余白も
すべて「光」によって設計できることを、まずは知っていただきたい。
そのきっかけとして、このコラムが少しでもお役に立てれば幸いです。
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有限会社ダイユー
住所 : 神奈川県川崎市高津区千年727
電話番号 : 050-8894-0498
神奈川のインテリアコーディネーター
東京にて照明設計や施工サポートを実施
東京にてニーズに応じた設計
東京にてオフィスの照明を提案
東京にて店舗向けの解決策
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