照明計画の「最後の一手」 ――シューティングの重要性
2025/09/03
照明計画の「最後の一手」
――シューティングの重要性
照明計画は図面の上で緻密に行われます。どの位置に器具を設置し、どんな配光を選び、どのくらいの照度を確保するか。設計者はシミュレーションを駆使しながら最適解を導き出します。
しかし、図面通りに器具を施工したからといって、その空間が自動的に理想の光環境になるわけではありません。いくら施工業者が丁寧に取り付けても、最後に欠かせない工程があるのです。それが「シューティング(ライティング調整)」です。
シューティングとは何か
シューティングとは、空間内に配置された対象物に合わせて照明器具の方向を微調整する作業のことです。
たとえば――
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飲食店ではテーブルの中央に料理がきれいに浮かび上がるように光を合わせる
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アパレル店舗ではマネキンやハンガーにかかった服の立体感を際立たせるように照射する
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サインや壁面では影やムラが出ないように配光を整える
これらは図面上では完全に表現できません。実際に家具や商品が置かれた現場でしか最適解は導けないからです。言い換えれば、シューティングは空間に命を吹き込む「最後の一手」なのです。
光は必ずずれていく
オープン直後に丁寧にシューティングを行っても、時間が経つと光は確実にずれていきます。
理由は単純です。
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商品レイアウトや什器の移動
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清掃や日常の出入りによる揺れ
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建物自体の微細な変化
こうした要因が積み重なることで、数か月後には光が本来の対象を外れ、商品が影に沈んだり、逆に不必要な場所がやたらと明るくなったりします。
結果として――
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店舗が全体的に暗い印象になる
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お客様がまぶしさを感じる
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商品や料理が映えなくなる
といったマイナスの効果が生まれます。しかも多くのオーナーやスタッフは「器具が古くなったのだろう」と誤解しがちです。本当の原因は光の方向がずれているだけなのです。
実例:アパレル店舗での劇的変化
あるアパレル店舗での事例をご紹介します。
「店舗が古くなり暗くなった。このままでは売上に影響するので器具を交換してほしい」――オーナー様からそう相談を受けました。
現場を確認すると、確かに空間は沈んだ印象。しかし器具そのものはまだ十分に使用できる状態でした。そこで試しにシューティングを行ったところ、マネキンや商品の表情が一変。床に落ちていた無駄な光を整え、商品を引き立てる角度に直すと、店内はまるでリニューアルしたかのように蘇ったのです。
オーナー様は「器具を替えなくてもここまで変わるのか」と驚かれました。結果的に器具交換は不要となり、売上に直結する「見え方の改善」を低コストで実現できました。
SNS時代の盲点
近年はSNSに店内の様子が投稿される機会が増えています。料理や商品と一緒に、背景として空間全体が写真に収まります。
もしその時、照明のシューティングがずれていたらどうでしょうか。
暗く沈んだ料理、影で隠れた商品、まぶしすぎる壁。これではせっかくのSNS投稿も興ざめです。
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おいしそうな料理は整った光環境でこそ映えます
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高級な商品も、整った空間でこそ真価を発揮します
光のズレを放置すれば、ブランド価値を損ねることすらあるのです。
広告写真と「化粧」の関係
広告や宣材写真を撮影する際も同じことが言えます。
シューティングをせずに撮影するのは、例えるなら――
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化粧をせずに写真を撮るようなもの
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しわの入った服を着たままカタログ写真を撮るようなもの
とてももったいない行為です。
人は無意識に「整った空間」か「ガチャガチャした空間」かを感じ取ります。私自身、広告写真を見ると光のズレが一目で分かります。「この店舗はメンテナンスをしていないな」と。
だからこそ、取材や撮影を行う際にはぜひ一報を。少しの手間で写真の完成度が大きく変わります。
シューティングが売上に直結する理由
シューティングは単なる見た目の調整ではありません。
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飲食店では、料理が美しく見えることでSNS拡散が起こり、集客や客単価アップにつながる
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アパレルでは、商品が立体的に映えることで購買意欲が刺激される
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美容院やクリニックでは、清潔感や安心感を演出しリピート率を高める
つまり、シューティングはマーケティング施策の一環ともいえるのです。
器具交換の前にやるべきこと
多くのオーナーは「暗い=器具の寿命」と考えがちですが、実際には光の向きのズレが原因である場合が非常に多いのです。
器具交換には多大な費用がかかりますが、シューティングであれば短時間かつ低コストで改善可能です。投資対効果を考えれば、まずは「シューティングで現状を最適化」することが先決です。
定期的なメンテナンスとして
シューティングはオープン時に一度やって終わりではありません。
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アパレルならシーズンごとのレイアウト変更時
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飲食店ならメニュー更新や什器変更時
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オフィスなら部署移動や家具入替え時
こうした節目でシューティングを行えば、常に最適な光環境を保ち続けることができます。
まとめ:まずは光の方向を整えることから
照明は器具を置けば完成するものではありません。空間ができあがって初めて「どこに光を当てるべきか」が決まります。
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図面では再現できない現場感覚
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放置すれば必ず起こる光のズレ
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調整ひとつで空間も売上も劇的に変わる
これらを考えれば、照明の見直しは「まずシューティングから」が鉄則です。
「暗くなった」「雰囲気が落ちた」と感じたら、器具交換やリニューアルを考える前に、一度光の方向を整えてみてください。
それがもっともシンプルで、もっとも効果的に、空間の価値を蘇らせる方法なのです。
そしてもし、「自店舗でも実際にチェックしてほしい」「広告撮影や取材の前に万全の光環境を整えたい」と感じられたら、どうぞお気軽にご相談ください。
わずかな調整が、ブランドイメージや売上に大きな差を生み出します。専門家による第三者視点での光のメンテナンスは、必ずお役に立てるはずです。
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有限会社ダイユー
住所 : 神奈川県川崎市高津区千年727
電話番号 : 050-8894-0498
神奈川のインテリアコーディネーター
東京,神奈川を拠点にて照明設計や施工サポートを実施
東京,神奈川を拠点にてニーズに応じた設計
東京,神奈川を拠点にてオフィスの照明を提案
東京,神奈川を拠点にて店舗向けの解決策
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